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ニュー・シネマ・パラダイス

2012年2月05日

■麒麟の翼■

犯罪そのものとか、犯人当てとかを推理するのではなく、犯罪を犯した背景や、社会性といったところに切り込むのが社会派推理。でも東野圭吾作品はそのどちらも備えているように思える。刑事・加賀恭一郎を主人公にしたこの作品、テレビもずっと見ていたが、犯人は誰か?という興趣に加えて、実に人間的な物語や心情が盛り込まれていて大いに引き込まれた。映画版もそのテイストを引き継いでいて、謎解きだけてなく、加害者と被害者の心の闇や社会的背景にまで切り込んだ構成が素晴らしい。適度にちりばめられたユーモア、複雑な人間関係にもかかわらず、簡潔な提示と描写で観客を巻き込む演出。面白かったです!ぜひシリーズ化してほしい!・・・向井理の登場シーン、ファンのみなさんなら???(帰来)

2012年1月29日

■ALWAYS三丁目の夕日64■

シリーズ3作目ですが、このシリーズが訴えていることは「あの時代はよかった」という懐古的楽観主義だけではないという事に思いいたりますね。確かに当時の事物が蘇るという事は懐かしさはあります。けどそれだけに終始している映画は必ず物語が破綻してしまう。物語として人々の心に訴えるには、「ドラマ」が必要。それは今のようなデジタル時代になっても、必ず必要な「アナログ的」なテーマではないでしょうか。人と人との繋がり、絆、優しさ。ベタだといわれようと、結局「デジタルで描いてもアナログな感情が人の心を動かせる」訳であります。娘を嫁がせる親の気持ち、親元を巣立っていく成長した子供。これは1964年に限った事ではないですから。そのあたりをキッチリと描いてるからこの映画に泣けるのだと思います。必見。(帰来)

2012年1月22日

■マイウェイ■

「シュリ」「ブラザーフッド」を撮ったカン・ジェギュ監督は、最初に戦闘シーンがイメージの中にあり、それからインスパイアされて、物語を形作っていったのかもわからない。ヨーロッパ戦線のドイツ軍捕虜の中に東洋人がいた・・・という事実からこれだけの壮大な映画を完成させた胆力は大したものです。確かに力作であり、日本人俳優をちゃんと起用している所は大いに買いますが、戦闘シーンのインパクトが強すぎて、主人公2人の「走る意味」「絆とは」「祖国愛とは」といった肝心のテーマがいささか薄められたような所もあります。でもそれだけに全てを破壊し消し去る「戦場の暴力」をナマで体験できる圧巻のシーンはお見逃しなく。ノモンハン、独ソ線、ノルマンディーという言葉は、若い人には単なる意味でしかないかもわかりませんが、映画を見たあとでも見る前でも、ちょっとは歴史のお勉強もあわせてよろしく!(帰来)

2012年1月15日

■ロボジー■

「リアル・スティール」や「トランスフォーマー」をしのぐ日本ならではのアナログテイストをもった佳作がこの映画!ハデなCGやアクションがなくてもロボット映画はつくれるというお手本です。矢口史靖監督、前作の「ハッピーフライト」がエピソード詰め込みすぎだったのを反省したのか今回はワンアイデアでテンポも実に快調です。人間が中に入ったらバレない訳がないのだが、実は私がグッときたのはコメディ部分のドタバタではありません。家族からも煙たがられ、人と人とのふれあいを求める孤独な老人が、自分を必要としてくれている人がいると知った時の喜びがキチンと描写されている点に尽きます。人は一人では生きていけない。誰かに頼られてこそ輝ける。ラストのワンショットが作品のテーマだと思います。必見!吉高由里子のハジケっぷりも実に素晴らしいです。主演の五十嵐信次郎については「お楽しみはこれもだ!」を読んで下さい!(帰来)

2012年1月04日

■今月のいろいろ。■

とりあえず今月公開の作品をざーっとご紹介します。「ロボジー」はあの矢口史靖監督の新作。そして「ヒミズ」ではハードな物語を演じた染谷将太と二階堂ふみの十代コンビに注目下さい。そして大ヒットシリーズ「ALWAYS 三丁目の夕日」も3作目。今回の舞台は昭和39年です。私は小学生でしたね(笑)オダギリ・ジョーとチャン・ドンゴンの共演「マイウェィ」も楽しみなら、月末には園子温監督の「恋の罪」が香川でも見られます!個人的おススメは1957年製作の映画史に残る名作「幕末太陽伝」のリマスター版。これは面白いです。ぜひお見逃しなく!あ、それとAKB48のドキュメンタリィ映画第二弾ももちろんお忘れなく!いやー、1月から忙しいですねっ!(帰来)

2011年12月25日

■聯合艦隊司令長官 山本五十六■

確かに私は、戦史、ミリタリーマニアですが、それでもやっぱり先の大戦を描いた映画は若い人に見てもらいたいと思います。日本とアメリカが戦争をしたという事実を知らない人がいるぐらいの21世紀。「山本ごじゅうろく」という人がいたり、「聯合艦隊」という言葉を知らなかったり・・・。正しく歴史を伝えてこなかった世代が悪いのか、キチンと向き合おうとしない世代に罪があるのか・・・。「男たちの大和」と比べて、今回は1人の人間にドラマを絞っているわけですが、彼の戦死から後の展開が「戦争とは悲愴でも悲壮でもなく悲惨なもの」という認識を改めて感じることのできるものだという事です。ある意味、彼は「地獄を見ずに死んだ」という事かも知れません。役所広司は熱演です。一人でも多くの若い人にまずは見てもらいたい1本です。(帰来)

2011年12月19日

■ミッション:インポッシブル■

「ゴースト・プロトコル」、いや~、これは面白いですよ~。シリーズの中でも屈指の面白さはやはりトム君が自分で身体を張ってるから。もうじき50才なのに頑張ってます。自分の商品価値をよく心得てる。このシリーズ、本来の「プロ集団がチームワークで任務をこなす」といったものからいささか様変わりしていってますが、アクション映画としては奇想天外さと小気味よいテンポで十分に楽しめます。今回もまぁ、「よくある展開」ではありますが、ジェレミー・レナーがワサビ味となってていい感じです。さて、5作目はあるのか?!(帰来)

2011年12月12日

■リアル・スティール■

父子ものというのは定番のアイテムですが、その絆を何によって取り戻すかでお話が進んでいく。今回、それが「ロボットボクシング」だというのがハリウッドのうまい所。泣かせどころ、力の入れどころとツボを押さえた展開でストレスなく、楽しめる1本です。「立つんだ、ジョー!」みたいなノリが面白かったです。そして、日本映画にありがちな「すべてを説明してしまうラスト」ではなく、さてこのあと2人とロボットは?という展開が興味をひきました。ロボットの名前が「ATOM」というのは、手塚治虫にリスペクトを捧げているという解釈でいいんでしょうか?(帰来)

2011年12月04日

■白い船■

今週は「特別版」という事で、さぬき映画祭で上映された2002年のこの作品をご紹介します。舞台は島根県ですが、わが香川県にも通じる海と空の美しさ、人々のやさしさ、子供たちの純粋さがきっちりと描かれていて、9年ぶりに見て、改めて「いい映画やなぁ!」と感動した次第です。特に小学6年だった濱田岳がやっぱりうまい。それと大人たちが子供らを見守る視点が好感を持てて、ほんとにまさしく「心が洗われる」1本です。私としては、錦織監督の「レイルウェイズ」よりも好きですね。みなさんもぜひDVDでご覧下さい!(帰来)

2011年11月27日

■アントキノイノチ■

深い絶望に陥ったり、取り返しのつかない後悔を背負う人間は、再生できるのでしょうか。映画とか小説では安楽に復活したりしますが、現実はなかなかそううまくはいかないものです。でもどこかに希望を持って、できるならば立ち直って前へ歩きたい。だから観客は映画に救いを求めるのかも知れないと思うわけです。遺品整理業という仕事は確かに人の悲しみや業を背負うけど、主演の岡田将生と栄倉奈々の美男美女ぶりがこの映画の明るさを支えていて、二人の熱演に拍手を贈ります。しかし、なんで、さだまさしの小説ばっかり映画化されるんでしょう!?(帰来)

2011年11月20日

■コンテイジョン■

アカデミー監督、スティーブン・ソダーバーグの新作だからといって社会的な大テーマをふりかざしているわけではないが、実によくできたサスペンス映画です。感染の拡大という21世紀テイストのパニックがテーマだが、大がかりな特撮やモブシーンもないのに、人間ドラマを中心に実に多様なテーマが盛り込まれて飽きさせません。しかも、これだけのテンポと密度の濃さ、ラストの余韻まで含めて、たった106分!長けりゃいいってもんじゃないというお手本。確かにご都合主義的な展開はあるものの、実に満足した1本でした!(帰来)

2011年11月14日

■マネーボール■

スポーツ映画ではありますが、試合シーンや勝利のカタルシスよりも、主人公の心の襞にわけいった一級の人間ドラマです。大リーグのビジネスライクな所も描かれてはいますが、過去にそのシステムに振り回されて、自分を見失ったトラウマを持つ主人公の痛みが惻々と伝わってきて心を動かされます。まぁ、野球ファンから見ると、なかなかこんな神懸かり的な連勝は望むべくもないわけで、でもそこをしつこく描いていない所に監督の心意気を感じました。企業の中堅マネージャーはぜひご覧下さい!(帰来)

2011年11月06日

■カイジ2 人生奪回ゲーム■

2年前の第一作もなかなかのものでしたが、今回はかなりアツく見ました。ギャンブルをテーマにしてはいますが、どちらかというと「あり得ない設定で描く、人間が普遍に持つ欲望と弱さ」がテーマのこの作品です。それだけにギャンブルそのものの設定が作品世界を大きく形作ります。前回は奇想天外ゲームでしたが、今回は「パチンコ」!しかも一玉4000円!1000万円単位で突っ込むという恐ろしさ。身近なパチンコだけに身を乗り出す感じがしますね!ささやかに楽しんでるパチンコファンの方、ぜひこの映画をご覧下さい!(帰来)

2011年10月30日

■カウボーイ・アンド・エイリアン■

この種の映画は深く考えないで楽しんで下さい。「なんで?」とか「そんなバカな」ではなく、「ありえね~!」とか「おいおい!」と突っ込みつつ見てほしいです。でも名実ともの大スターがこういう役どころを真剣に演じるというところが懐の深さかも。日本でいうと、渡辺謙と役所広司が「スーパー戦隊もの」にヒーローとして出演するみたいな・・・。でもこういう奇想天外なものだからこそ、真剣に演じて、金をかけて作るというのがいい訳でして。SFXのクオリティや西部劇のリアリティをまずは楽しんで下さい。でもホンネをいうと、この2人で本格的西部劇が見たかった私です。「ヴェラクルス」みたいな!(帰来)

2011年10月23日

■一命■

三池崇史監督としては実に正攻法で、フィックスのカメラと美術・照明の力で、堂々たる時代劇を作りました。時代劇といえばチャンバラアクションとか藤沢周平の世界と思われがちですが、かつてはこういう「武士道の非道」とか「義の残酷さ」を前面に出した時代劇が多くあったものです。役所広司は今更のうまさですが、海老蔵、瑛太も実に熱演。まだまだ時代劇も様々なテーマで描くことができると我が意を得たり・・という思いを強くしました。でもひとつだけ疑問・・・。これ、3Dにする意味はあったんでしょうか?(帰来)

2011年10月16日

■ブリッツ■

ご存じ、ジェイソン・ステイサムの暴力的1本。荒唐無稽なアクションとマンガみたいな悪役という今までのテイストから、今回は地に足のついたサスペンスになっていて驚きました。こんな役もできるのね・・・といいつつ、かなりバイオレントやけど。犯人もサイコキラー充満って感じでなかなかの変化球を楽しみました。でも、ホンネを言えば、もっとムチャクチャしてほしいです。だって、ステイサムに心理描写はいらないのだ!(帰来)

2011年10月09日

■はやぶさ■

スペースシャトルや月旅行をテーマにしたハリウッド映画はよく見ましたが、日本の宇宙開発を舞台にした映画はほんとにありませんでした。SF映画は別として・・・。今回の「はやぶさ」の快挙はまさに映画向きの題材。特にそのドラマティックなところが日本人の浪花節的感性を大いに揺すぶったという事もあり、私なんかラストは涙、涙でした。ベテランの俳優陣の堅実な演技と、固い演出で2時間あまりを堪能しました。「はやぶさ」はあと2本公開になり、結果として競作になるわけですが、これが一番手の作品。どれも見たくなりました。元宇宙少年は胸躍りますね。(帰来)

2011年10月03日

■ワイルドスピード■

10年前に第一作を見たとき、こんなヒットシリーズになるとは思わなかったです。段々と大仕掛けになって、物理の法則を無視したかのようなカーアクションになってきたと思ったら、今回の最新作は今までの中でも最大のヒットとなりました。あまり深いドラマとか展開を楽しむより、この種のものはシーンシーンの迫力と爽快さを楽しむのがベスト。だから私としては俳優が誰でもいい訳ですね!2時間、しっかりと「カーアクションの原点」走って飛んで、クラッシュしてもドライバーが「あイタタ・・」で済むという異次元の面白さを満喫してください。(帰来)

2011年9月25日

■アジョシ■

いやー、ウォンビン、カッコよすぎる!たいていは普段の姿がまったくサエないのにイザという時にキメる・・というのが映画の定番なのに、ウォンビン、普段もクールでカッコいい訳で。黒とグレーを基調とした画面構成と、いささかエゲツないアクションシーンと、それにも増してセットに金かけてるらしい韓国映画界の迫力にも納得しました。日本映画でもできそうな物語なんで、ぜひ日本でリメイクしてほしいです。キャストは最初に韓国が企画したとおり60代のオヤジでぜひ!(帰来)

2011年9月18日

■世界最終決戦■

大震災の影響で公開延期になってましたが、確かにあの時期には刺激が強すぎたかも。これはSF映画に名を借りた純然たる戦争映画です。そのスタンスで見る方が腰が落ち着きます。SFに必要な「センス・オブ・ワンダー」よりも、個々の兵士と守られる市民、作戦の遂行とそこに生じるアクションとドラマという形なので、戦争映画なんですね~。敵はエイリアンだが、これが太平洋戦争だろうが、イラク戦争だろうが、戦う本質は変わらないという訳です。そのつもりで娯楽映画と割り切って見る事をオススメします。(帰来)

2011年9月12日

■大鹿村騒動記■

好漢、原田芳雄の遺作となったこの映画、最近の日本映画の風潮とは一線を画して、人間とドラマと心情がしっかりと描かれた好篇となりました。浮気相手と逃げた妻、奪った親友、村の伝統行事、過疎地域の諸問題。人生の機微。これらが見事に2時間足らずで治まるという職人技。脚本の荒井晴彦に拍手。大仕掛けな映画やハデなシーンに飽きた方は、ぜひ本当の意味での日本人が出るこの1本にご注目!(帰来)

2011年9月04日

■日輪の遺産■

これは非常によく出来たドラマです。あの悲劇の時代に生きた日本人の日本人的心を実によく描いています。お話は確かに荒唐無稽な点もあるが、登場人物を丁寧に描きわけているのとあわせて、時代考証がキチンとできていて好感がもてる。あの時代、日本人が何をどう考えて生きたのか、少女たちと軍人、教師を軸にもう一度考えてみませんかという投げかけでもあります。佐々部清は「夕凪の街桜の国」の質の高さに匹敵する佳作を生み出しました。ひとりでも多くの戦後派世代、戦争をまったく知らない世代に見てもらいたいものです。(帰来)

2011年8月28日

■神様のカルテ■

通常の医者ものとは違うテイストに関心しました。ヒューマンな心を持っていると思うのだが、やる気があるのかないのかわからないというのが主人公。そしてこの映画、治療シーンや手術シーンがほとんどありません。にもかかわらずラストでは泣けてしまった私です。主人公の心の機微を丹念な構図で描き出した深川栄洋監督の手腕に拍手。テレビで見る熱血でアクティブでアツい医者像に飽きた方には間違いなくおススメです。宮崎あおいの奥さんはちょっと出来すぎだが・・・。(帰来)

2011年8月21日

■メカニック■

70年代映画少年としては、チャールズ・ブロンソンのオリジナル作に拍手した世代であります。今回はジェィソン・ステイサムが問答無用で撃って撃ってうちまくる!過激過ぎてR15になってしまうほど。アクション映画としては定番を踏み、料金の価値はあり!でも私としてはステイサムにはもっとユーモラスで人間くさいスーパー親父が似合ってると思うんだが。「トランスポーター」はその点、テイストは満点でした!10月にはまた「ブリッツ」という新作がくるとか。とにかく「メカニック」は大人向けの1本にはなりましたね~。(帰来)

2011年8月14日

■カーズ2■

「カーズ」は好きな映画でしたねぇ。今回は続編でしかも日本が舞台にもなっています。それぞれのキャラの描きわけ、感情の機微の出し方、もう泣いて笑ってというのがピッタリの痛快映画。確かに実写では無理だし、ここはこの3DCGがまさにツボに入りました。しかし・・・やっぱり日本のイメージというとこんな感じなんですかね。それから・・・字幕版で見たかったです・・・。いや、吹替版が悪い訳ではないですけど。マックィーンという名前を聞いて泣ける世代は私と同世代ですね!(帰来)

2011年8月07日

■トランスフォーマー ダークサイドムーン■

久しぶりに3D効果を満喫した迫力の映像!・・・。人間ドラマが密でなくても、ご都合主義だろうがなんだろうが、「映画は映像の力である」という基本コンセプトにのっかっての150分。満腹感で一杯であります。まさに「イベントムービー」であり、「映画館の大スクリーンでみるべき1本」。マイケル・ベイ、いろいろ言われながらこれだけの物量をコントロールするんだからある意味「名監督」です。宇宙大好きオヤジとしては、中盤に実物のバズ・オルドリン飛行士-人類で2番目に月を歩いた男-が登場して涙ものでした・・・。(帰来)

2011年7月31日

■ダンシング・チャップリン■

周防正行監督、奥さんの草刈民代主演の話題作がついに高松でも上映されます!劇映画でもなく単なるドキュメンタリィでもなく、2部構成のこ作品は、この夫婦コンビでなくては撮れなかったと思いますね。バレーダンサーとしての作品と、そのバックステージでの葛藤や揺れ動く心情を的確にカメラに収められたのは、信頼関係があってこそでしょう!「ブラックスワン」と比較してみると興味津々。しかし、この夫婦、仲いいですね~。ところで、周防監督、「それでも僕はやってない」に続くドラマも見たいです!(帰来)

2011年7月24日

■ハリー・ポッターと死の秘宝 パート2■

とうとう終わってしまいました。9年の間、変わらないテイストと高品質を維持できたのは作り手がいかにこの作品を愛していたかという証でしょう。3作目あたりから「少年の成長物語」というよりも「ダークな異世界でのハードファンタジィ」に様変わりしてきましたが、主役トリオが大人になっていくんだから これは仕方がなかった結果でしょう。私は原作はまったく読んでませんが、今回のラストシーンには「絆」とか「世代の継承」といったことを思ってジーンとしました。とにかく大したシリーズではありました。さて、ラドクリフ君の次回作は何?(帰来)

2011年7月17日

■コクリコ坂から■

ファンタジィ系の多いジブリの中で、実は「海がきこえる」が好きだったりする私です。激しいアクションや劇的なキャラクターはいないかわりに、優しい平凡な日常と、誰にでも記憶のある感情のやりとりが中心になる訳です。今回は48年前の横浜の高校生が主人公。私が大好きなテイストで満足しました。宮崎吾朗監督の手腕が上がったのか、お父上の脚本や絵コンテが素晴らしかったのかは不明ですが(汗)、前作「ゲド戦記」よりははるかに完成度が高いと思います。ちなみに主題歌「さよならの夏」は今から35年前に森山良子が歌ったもの。レコードを引っ張り出してきた私でした!(帰来)

2011年7月10日

■マイティ・ソー■

数多いSFアクション映画だったので、「またか」と思ったのは確かですが、監督ケネス・ブラナーの名前を見なかったらパスしていたかも・・・。シェークスピアかと思えばアメリカンコミックヒーローとは。でもなかなかの1本でした。最近のコミックヒーローはみんなダークな心の闇を抱えていてトラウマがあり、脳天気な男ではないので、そのあたりが描き方のミソとなります。ナタリー・ポートマンというビッグネームも楽しんでやってるという雰囲気です。どう考えても「続きあり」というエンディングですが、果たしてあの「゛ハンマー」をふるう次回作があるのか!?(帰来)

2011年7月03日

■スーパー8■

SFアクションという情報しか知らないあなた!これは必見ですよ!単なるモンスター映画ではなく、いろいろな要素が複雑に絡まっていながら、映画としては実にさわやかな感動を呼び起こすという大した1本です。テイストとしては「ET」「スタンド・バイ・ミー」、「グーニーズ」「未知との遭遇」その他といったところ。特筆すべきは主役の少年少女の感情のうねりをSFで包んで描いたJ・J・エイブラムズの演出でしょう。様々なシーンが過去の映画にオマージュを捧げていて、映画ファンならニヤリとさせられる。制作総指揮はスピルバーグ。大したもんだね。(帰来)

2011年6月26日

■127時間■

「決して行き先を告げないで遠くに行ってはいけません」という教訓が身に染みる1本。サバイバル物語というより、「孤独と喧噪」についてのダニー・ボイルなりの思考経過という感じでしょうか。彼のエッジのたったテンポの早い映像で描かれる「究極の選択」はやはり「孤独」と「連帯」というキーワードなしでは考えられませんね。日本だと、大感動ストーリーか、感涙にむせぶという図式になるのだろうが、そこはダニー・ボイル。94分というコンパクトな時間で、たくさんの事を考えさせてくれます。日本でリメイクするなら、佐藤隆太やろな~。J・フランコと似てるので。(帰来)

2011年6月19日

■X-MEN:ファーストジェネレーション  ■

プリクェル(前日譚)はこう作れ!というお手本のような痛快作です。まぁ、ファンにしかわからないようなコアなエピソードもありますが、あまり深くこの世界を知らなくても十分に楽しめます。各キャラクターのぶれない所と逆に変質したところを実にうまく描いていて、アクションシーンのクォリティの高さと相まって、まさにエンタテインメント色満開の1本です。50年近く前の世界を舞台にしているにもかかわらず新しさも感じるし、大スターがいない分、キャラクターに親近感もわくという所でしょう。ヒコーキマニアとしては、活躍するマッハ3級戦闘機YF-12Aに拍手。これ、実在のヒコーキですよ!未来的なフォルムですが初飛行はもう50年近く前というもの凄いヤツです。(帰来)

2011年6月12日

■花子の日記■

映画監督たるもの、自分の作品は大スクリーンで多くの人に見てもらいたいと思うものです。松本監督の熱意が、みごと実を結びました。今のこの時代だからこそ、バカバカシクもアナログな親子の絆をコメディタッチで描いた本作は必見です。おなじみのロケ地もいい使われ方です。瀬戸内と香川を斬新な切り口で描いた「花子」、まずは香川から応援しましょう!(帰来)

2011年6月05日

■「マイ・バック・ページ」■

1960~70年代にかけて学生運動家と若きジャーナリストの交流と挫折とを描いた話題作です。主演が松山ケンイチと妻夫木聡だからといって甘い青春映画を予想していたらダメです。これは実に硬派で、当時をまったく知らない35才の山下敦弘監督だからこそ、描けた「いつの時代にも共通する青春独特の熱っぽさと挫折感」が見る者の心にドーンと入ってくるわけです。私は彼らより少し下の世代ですが、やっぱりラストシーンには泣けました。あの時代の感覚を知っている人にも知らない人にもオススメの秀作です。(帰来)

2011年5月29日

■もしドラ■

一応、略しましたのでご容赦ください!で、去年の大ベストセラーの映画化がついに公開になります。主演はAK48の前田敦子。実はこの原作本のプロデュースが秋元康であり、著者の岩崎夏海は秋元の弟子。時代を読む能力は素晴らしい。で、映画は決して浮ついたものではなく、堅実な高校野球映画として実に好感が持てる出来になりました。試合シーンもアングル、構成等に工夫を凝らして、熱血感覚になりますよ!大泉洋という大人が脇を固める安心感もあり、まずはブームを堪能してじっくりとご覧下さいませ。(帰来)

2011年5月22日

■トゥル-・グリット■

これはまた堂々たる西部劇。昔からの定番である馬上のガンプレイ、野宿、保安官、無法者、荒野を行く捜索者、はたまた宿場町。そして荒くれ男にピュアな少女。すべてが備わっている事に加えて、コーエン兄弟独特の死生観とか人生への絶望と希望がないまぜになった虚無的なラストシーンとかがあって、眼を話すことができない1本です。やっぱりこのラストの描写がコーエン兄弟のテイストなんですね。単なる痛快西部劇ではない訳で、「ノーカントリー」にもつながると思いますね。ぜひご覧下さい。(帰来)

2011年5月16日

■ブラック・スワン■

ヒロインの座につくものの孤独と栄光と重圧、そして心身の疲弊をここまで容赦なく描き出した演出手腕と、それに応えたナタリー・ポートマンの演技の素晴らしさに尽きます。テーマは色々と考えられるし、ステージママとの葛藤から、鏡や口紅といった小道具をつかっての心理描写も含めて、サスペンスというより、「ホラー」に近いテイストが実に興味深いです。でもこれだけストレス耐性の弱い娘が、パレエ団のこの位置までこれるのかが疑問といえば疑問。まさに鬼気迫るポートマンの渾身の一撃をぜひ!(帰来)

2011年5月08日

■阪急電車■

20年前に阪急沿線に住んで、宝塚~神戸あたりを走り回ってた私です。かなり懐かしく見ましたね~。阪急電車の乗客カラーは、阪神、南海、京阪のどれとも違います。そのあたりがうまく出たハートウォーミングな出来になったと思います。でも現実にはああいう「ちょっとした一言」「ちょっとしたふれ合い」がなかなかできないのが人間な訳で、いささかメルヘンに見えましたがオススメです。でももっというと、戸田恵梨佳や中谷美紀みたいな美女が乗ってくるんだったら、私ももう一度阪急沿線に住みたいですぅ。(帰来)

2011年4月17日

■GANTZ  PERFECT ANSWER■

SFアクション映画のキモ・・肝心のポイントはどこだろうといつも考えます。結局、かつて高名なSF作家が言ったように「SFは絵だ」という事になると思いますね。まずはビジュアルで日常性を脱却させなければ観客は異次元に入れません。その意味で、フツーのマンションの一室にある「黒い球体」に支配される死んだはずの人たちという異様な設定と、パワースーツを駆使したバトルシーンは「絵づくり」という点ではポイントが高いです。世界観とか理屈を頭で考えると???のところもあるにはあるけど・・・。佐藤信介監督の「構図」に拍手!(帰来)

2011年4月04日

■八日目の蝉■

不実な男の、生まれたばかりの娘を誘拐して、4年間自分の娘として愛情を注いで育てる・・・・こんなシチュエーションは女性にしか書けない。映画が現在と過去を複雑に行き来する構成をとったのは、誘拐した母親と、同じ道を歩もうとする誘拐された娘との時間を隔てた生き様を対比させたかったからでしょう。演出が手堅く、この方法が成功していることは言うまでもないです。小豆島のたたずまいが作品世界にマッチしていて、実にいい雰囲気。瀬戸内海であるという点が大きな意味を持っていると思いますね。ぜひ大切な人とご覧ください。(帰来)

2011年3月06日

■英国王のスピーチ■

この作品はいいですよ!とにかくウィットとユーモア。暖かさと切なさ。毅然としていて人間味溢れるキャラクター。すべてがそろっててアカデミー賞は納得。英国王室は大衆週刊誌のエジキにもなるし、国民たちは芸能人のノリで追っかけをするという日本では考えられないスタンスでもある訳で、だからこそこういう映画が作られる土壌はあったというべきでしょう。コリン・ファースはもちろんの事、J・ラッシュの巧みさ、H・B・カーターの最近作(「アリス・イン・・・」とか!)とはうってかわった演技も素晴らしい。やっぱりアメリカ人は宗主国イギリス王室に弱いんだなぁと改めて実感しました。必見!(帰来)

2011年2月20日

■太平洋の奇跡■

こういう太平洋戦争を描く映画がなかなか多くの世代に受け入れられるという事が難しい現在、あえて果敢に挑戦した作り手に敬意を表します。アメリカと日本が戦った事を知らないという情けない人間がいるなかで、竹ノ内豊や唐沢寿明という二枚目を使うことで興味をひきつつ、戦いのなかのヒューマニズムを描いた佳作だと断言します。日米両軍の描き方、個人と集団の葛藤と苦悩など、スケール感たっぷりの2時間あまりです。特に音響効果が臨場感を高めてくれます。若い人におススメの1本。(帰来)

2011年2月13日

■ウォール・ストリート■

23年前の「ウォール街」が公開された時、時代は「イケイケ」でしたねー。土地は上がるもの、投資は儲かるもの・・・。今はリーマンショックにサブプライムローン、9.11に超不況。さすがのアメリカ映画もこれを避けては通れない。今回の続編は21世紀の投資環境にあったシビアな物語ですが、根底にあるのは、裏切り、信頼、愛情、欲望、絶望といった相も変わらぬ人間の営みです。ここを描かなければ物語は成り立たない。その意味では、ふつうの人間ドラマではありました。まぁ、とにかく「おいしいもうけ話はない!」のです!(帰来)

2011年2月06日

■GANTZ■

日本のSFアクション映画はどうしてもスケール感や迫力に欠けるものが多いのも事実ですが、これはなかなかよくできています。非常に特異な世界観だけに、導入部でしばらくの間とまどうけど、それを飲み込んでしまえば、かなりクォリティの高い作品だといえます。動機とか、なんで?とか、どうして?という疑問よりも、画面の疾走感とバトルシーンの映像リズムが出色です。それとあえて「PG12」としたスプラッター色も若年者にコビをうらない姿勢でよろしい!人生は理不尽で無慈悲で、先が読めないという哲学を受け入れよう!さて、後編は4月。お楽しみ!(帰来)

2011年1月30日

■白夜行■

長編推理小説の映画化は難しい。ストーリーを知ってる人には映画ならではの興奮が必要だし、知らない人には2時間で世界観を納得させなくてはならない。今回の映画化は実にうまくできたと思いますね。まず、撮影技術。「銀残し」といわれる現像処理によるザラついた感覚がこの世界に実にあってます。そして衣装、美術も素晴らしい。深川栄洋監督は若干36才なのに、この重厚な物語を力ずくでおさえつけて自分のものにしてといるという感じが素晴らしい。そのへんのお話を手軽に映像化したという作品とは違って、確実に「映画」です。2時間半をじっくりと堪能してください。(帰来)

2011年1月23日

■僕と妻の1778の物語■

「決して難病もののお涙ちょうだいにはしないでほしい」というのが原作者・眉村卓の要望だったとか。作り手はあえて闘病シーンを減らして、小説の世界と現実の世界を融合させたファンタジィとして完成させている。これを異和感とみるか、作品独自の世界観とみるかは、その人の死生観にかかわってくると思います。ワタシは肯定したい。それだけに竹内結子の前半、明るさを振りまく役に対比させた後半のシーンがいささかリアルかな・・・とは感じました。でも泣けます。じっくりと見たい1本です。(帰来)

2011年1月16日

■ゲゲゲゲゲ!■

「ゲゲゲの女房」は、テレビで大人気になりましたが、ついに映画版も登場しました。どちらの夫婦が映像的にいいかといわれると好みはありますが、私は吹石一恵の方が好きです。昭和の濃密な匂いを漂わせつつ、ある夫婦の人生観とその暮らしぶりを描くというテーマだけに、夫婦の手のつなぎ方、視線の交わし方、言葉のかけ方。このあたりをじっくりと見たいなら、やっぱり映画ですかね。昭和に結婚したご夫婦はぜひご覧下さい。でも・・・水木しげる本人に一番似ていたのは、テレビで彼の戦争体験を描いたドラマで主演した香川照之でした!(帰来)

2011年1月04日

■アンストッパブル■

単純に「暴走する機関車を止める」というテーマに絞ったコンパクトな99分。これぞ職人芸の演出です。細かい人間関係や感情の描写を最小限に抑えて、ひたすら走る鉄の塊を捉えた絵づくりには感心させられる。映画が「動く絵」である以上、機関車は絶好のアイテムです。実話をベースにしてるからあんまり支離滅裂な事はできなかったようですが、映画としての面白さは大したもの。正月第一弾は方の力を抜いた娯楽映画はいかがですか?!(帰来)

2010年12月31日

■相棒 劇場版2■

長年にわたり、ファンの心をつかんで離さない長寿シリーズには必ず何かがあります。それはキャラクター設定の妙であったり、物語自体の展開の面白さだったり、お約束事の安心感だったり、そうしてみると「相棒」はそのどれもを兼ね備えているという事になります。テレビをそのままブローアップするのではなく、カッチリと映画として仕上げている完成度の高さには感動。監督の和泉聖治は日本映画プログラムピクチャーの名手です。こういう形で彼の新作が見られるというのはうれしい限り。そして主役の2人はもちろん、脇役に至るまでが観客を楽しませようとしてくれている。どこかのひとりよがりの映画とは違いますね~!(帰来)

2010年12月19日

■トロン・レガシー■

今から28年前の秋、「トロン」という映画を見ました。世界最初の「コンピュータによる画像」を取り入れた画期的作品でした。今見ると、小学生のパソコンでもできそうなグレードですが当時は大変に驚いたものでした。その分、人間ドラマは希薄だったが・・・。そして28年後、まさか、その続編が見られるとは!まさに最先端技術と3Dを楽しむための1本。しかも当時の主役、ジェフ・ブリッジズが帰って来てる!私としてはそれだけで何も言う事はない。とにかく、ただこの映像世界に身を委ねて下さい。「トロン」とはそういう映画なんですから。さて、あと28年経って「トロン3」が出来るかな・・・・?(帰来)

2010年12月12日

■ロビン・フッド■

ラッセル・クロウ×リドリー・スコットといえば、まずは「グラディエーター」ですが、今回もそのテイストに勝るとも劣らぬ密度の濃い内容と、深い絵づくりで2時間20分、大いに楽しみました。日本人には今ひとつインパクトの弱いヒーローですが、イギリスでは誰でも知ってる義賊。日本の時代では源義経あたりと同時代なんで、そんな感じですかね。とにかく、男くさくて、中世の荒々しさに加えて、義理と人情の乱れ打ちには圧倒されます。とにかくこれぞ「映画」。大型画面でぜひ!(帰来)

2010年11月02日

■死刑台のエレベーター■

高松では公開されませんでしたが、神奈川で見てまいりました。いやー、なかなか面白かったです。オリジナルのフランス映画はもはや伝説ですが、私が見たのはもう数十年前。今回、リメイクされた本作を見て、これはこれで日本映画としてキッチリと仕上がっていると思いました。全体の色調、物語の展開、そして斬新なアングル。これは映画の感性です。スクリーンで2時間対峙できるだけのクォリティを感じたですね。阿部寛も頑張ってるが、吉瀬美智子がとにかくいい!こういう「コジャレた映画」が、なかなか見られない配給システムというのもツライね~。(帰来)

2010年10月24日

■インシテミル■

ホリプロ50周年記念作品ってことで、ホリプロスター総出演ですが、中身は至って普通の(?)正統派不条理ホラー映画でした。10人が1室に閉じこめられてひとりひとり殺されていき、さて・・・・という設定は古今東西よくある話ですが、誰もが知っている有名タレントがそういう役をやると、先入観念がある分、意外性があったり、やっぱりと思ったり、色々な楽しめ方ができますね!中田秀夫監督は手慣れたショック演出でけっこう楽しめました。でもたくさんこの手の映画を観てる人はネタバレは早いと思う。ホリプロといえば和田アキ子!ゲストで出演すれば面白かったのでは???(帰来)

2010年10月17日

■桜田門外ノ変■

時代劇づいている私です。今回は正統派リアリズム時代劇。幕末の一大事件、井伊大老暗殺を正面から描いています。実は昨年、茨城県水戸市に出張したとき、この映画のポスターを至る所で見ました。自治体発の映画という位置づけは今後の映画界にもひとつの実績となったと思う。決して奇をてらわず正攻法で描いているように見えて、襲撃シーンが前半3分の1ぐらいの所にあり、後は関わった人たちの運命を描いていくという構成が斬新ではあります。エンドクレジットに流れる茨城県や水戸市の多くの関係団体を見てると、映画の力というものがまだまだローカルには有効なんだと実感します。さて次の地元発映画は???(帰来)

2010年10月12日

■大奥■

ファンタジィ色溢れるテイストかと思っていたら、なかなか時代劇のお約束事を守りつつ、奇想天外なお話をキチンと作り上げていて面白うございました。「あり得ない設定」を観客に信じこませるには、俳優もスタッフもかなりの労力とアイデアが必要とされる訳ですが、衣装、装置、小道具のひとつひとつに気配りがあって異次元世界にスッと入れましたね。柴咲コウの吉宗将軍はいささか貫禄不足のような気がしましたが、それも男女逆転というコンセプトでみるとありなのかも・・・・・。玉木宏と佐々木蔵之介の寝所シーンはまぁ、話のタネには・・・(汗)。(帰来)

2010年10月03日

■ナイト・アンド・デイ■

二大スターの競演というと、シリアスにいくにしてもコメディにしても、さらにはアクションにしてもコメディにしても、二人の魅力が爆発してなければどちらかの引き立て役にしか過ぎなくなるわけで、面白さも半減します。今回はトム・クルーズとキャメロン・ディアス。テイストはアクションコメディ。「ありえね~」といいつつ、二人の恋と冒険をスクリーンで楽しむというのは「大いにアリ!」でしょう。クドクなく、嫌みがなく、この二人の競演はまさに日本人向けかもわかりません。「巻き込まれ型の災難」に始まり、ラストはついニヤリとする・・・。まぁ、肩の力を抜いて気楽に楽しむのが一番。48才と38才。頑張ってるよ。(帰来)

2010年9月28日

■十三人の刺客■

これはスゴイ時代劇となりました。まさに超絶アクションチャンバラです。1963年公開のオリジナル作も映画館で見た私ですが、「集団抗争時代劇」という位置づけは今回もそのまんまです。ただ、スケールアップしているのは間違いがない。21世紀という閉塞された現代も、暴君に圧政を敷かれる江戸時代も、それを打ち破ろうとするエネルギーは普遍です。とにかく画面の力に身を委ねて純粋に楽しんでほしいです。「これはヒロシマ、ナガサキに原爆が落とされる100年前の物語である」というキャプションに作者の強い意志を感じます。一見!(帰来)

2010年9月19日

■「パーマネント野ばら」■

西原理恵子原作ものが最近多いけど、これは私の中では一番好きな1本となりました。なんといってもバツイチ子持ち出戻りという役を演じて絶妙な存在感の菅野美穂が素晴らしいっ!物語はやっぱりの高知が舞台。宿毛って知ってますか?海と空の素晴らしさがヒロインの心象風景と重なっていい味の雲と波。女も大変なんです。親も子も頑張って生きていくんです。思い出は忘れられないけど、人は悲しみも越えて前へすすまなくてはならないんです・・・。吉田大八監督、「クヒオ大佐」でも女性の悲しさを描いてましたが、今回もいい感じです。しかし、菅野美穂だね!彼女に尽きます。(帰来)

2010年9月12日

■「悪人」■

深津絵里、モントリオール映画祭主演女優賞おめでとう!このニュースを知っても知らなくても、この映画の中での存在感は際だっています。それはもちろん、妻夫木聡が今までにない「人生に絶望的でありすぎる若者」を全身で演じているからこそだと思うわけで、2人の演技は一見の価値があります。善と悪、虚栄と真実、男と女。そして親と子。私はやっぱり親の世代の心情に深く思い入れをしてしまうので、柄本明と宮崎美子には泣けました。だから「誰が悪人か」という質問には躊躇なく答えられます。皆さんも映画のラストの笑顔(誰の笑顔かは見てのお楽しみ)の意味をじっくりと考えてみてほしいですね。(帰来)

2010年9月05日

■特攻野郎Aチーム■

いろいろとハリウッド製のアクション映画も見てきましたが、今回ほど「後に何も残らず、まさにジェットコースター的展開で十分に料金の価値はあり」という映画も珍しいですねー。監督もよく知らん人やし、主演もリーアム・ニーソンに「第9地区」のオジさんぐらい。ぐだぐだと理屈もいらない、辻褄が合わなくても、その場のイキオイでつなげていくという荒技に身を委ねる2時間があってもいいと思います。これもエンタテインメントのひとつの方法です。ヒコーキファンとしては、C-130ハーキュリーズという4発の大型輸送機が活躍するので好感度アップ。ちなみにこの輸送機、「007リビングデイライツ」でもボンドの操縦で活躍してました。(マニアック!)・・・・・・(帰来)

2010年8月29日

■カラフル■

原恵一監督の力量にほとほと感心しました。家族の心のすれ違い、同級生の援交、イジメ、両親の不和、友情、受験。こんなドラマはアニメでなくてもできるわけで、それでもなお、そんなテーマをアニメで描こうとしたその心意気に拍手を贈ります。そしてその結果が、実写ドラマでは出せない微妙な既視感と、書き込まれた背景や表情に彩られた実に心にしみる物語になりました。「なぜアニメでなくてはいけないのか?」この答えは作品を見た人が考えてもらいたいです。両親、特に母親の声をアテた麻生久美子が実にいいです。いやー、原監督、ますます次回作が楽しみです。(帰来)

2010年8月22日

■キャタピラー■

寺島しのぶ、渾身の演技でベルリン映画祭主演賞!でも賞を与えたヨーロッパの人々に、この作品の本当の意味がどこまでわかっていたのかと思います。演技はもちろん素晴らしいけど、彼女と監督の若松孝二が描きたかったのは、「国家と個人」「男と女」「公と私」などの2つの価値観の激突と、戦争という大きな暴力の結果としての人間性の破壊と残酷性だと思います。ただ、欧米人には天皇制とか、農村の家父長制度とかについては難しいのではないでしょうか。とにかく若い世代もこの映画を見ていろんな事を考えてほしいです。そして議論してほしい。それだけの価値がある1本です。(帰来)

2010年8月15日

■「きな子」登場。■

今年の夏休みファミリー映画の決定版、登場です。もう全国的になったきな子ですが、香川ロケという点を抜きにしても実にキチンとした作りの映画になっています。だいたい犬が主人公の映画は、まず「女優犬」そのものの魅力ももちろんですが、それを取り巻く人間たちの感情がキッチリ描かれていないと浮きあがってしまう。今回のキモは、寺脇康文です。映画の芯を支えています。ラスト、お約束の盛り上がりシーンもあり、古くは「名犬ラッシー」(古すぎ!)からきな子に至るまでの「名犬映画」が見事につながったという次第。ぜひご家族で!(帰来)

2010年8月08日

■ソルト■

去年、「チェンジリング」でアンジェリーナ・ジョリーの意外に深い演技力と表現力に圧倒されましたが、彼女、やっぱりアクションは大したモノだと、「ソルト」を見て実感しました。全部がスタンドインなしのアクションとは思えないが、動きのキレの良さとハギレのいい立ち居振る舞いは、まさにアクション映画向けといってもいいです。果たして自分はダレなのか?とにかくまず行動することで自分の存在を確かめるヒロインのカッコ良さ!先日来日した時も記者会見でキワドイ質問をサラッと流したりとか、もはや大御所ですね!夏向きにスカッとしたい方はぜひ!(帰来)

2010年7月31日

■トイ・ストーリー3■

遅まきながらやっと見ました。で、やっぱり泣きました。いろいろなCGアニメやピクサー作品のなかで、私が純粋に泣けるほど感情移入できるのはウッディとバズだけです。なぜかというと、もと少年だった私も過去にたくさんのオモチャを捨ててきたからで、そんな少年時代へのノスタルジィと、オモチャたちに気持ちがあったら、つらかったんだろうなとか考えると、もうたまりません・・・・。オヤジ殺しのお話ではないですか!でも持ち主がみんな「いい子供が優しい大人になる」とは限らない訳で、そういう意味ではウッディたちは幸せ者です。今回は吹替版で見ましたが、うまい人が吹き替えすると作品の質も上がります。オヤジは必見!(帰来)

2010年7月31日

■■

2010年7月25日

■「必死剣鳥刺し」は必見!■

時代劇ブームといわれていますが、大人の鑑賞に堪える名作がまた一つ誕生しました。これはよくできている!藤沢周平原作ものはそれぞれに高い評価を得ていますが、今回は前半の静と、後半の動の対比が見事なうえに、自分を厳しく律する主人公の静謐なたたずまいをトヨエツがよく演じてて実にいい雰囲気です。所作、小道具、セットの細部にまで気を配った平山秀行監督、会心の1本になりました。個人的には密かに主人公に思いを寄せる池脇千鶴のうまさに驚いた。あのジョゼがいつのまに・・・・!?日本人の日本人的心を描くのが難しい時代ではありますが、たまにはこういう硬質なドラマを見て「古き良き日本人」に思いをはせようではありませんか!(帰来)

2010年7月18日

■借りぐらしのアリエッティ■

夏休みに、誰もが間違いなく安心して見られて、かつクオリティが高く、ヒット間違いなしなので劇場も大喜びという「スタジオジブリ」の新作がこれです。童話が原作のファンタジィですが、とにかく素直で暖かく、ほのぼのとしているのは間違いがないが、今回のヒロイン、アリエッティはその「凛としてる度」と「毅然とした行動力度」が非常に高い!そしてジブリ作品の常として、「絵がよく動く」。これは相変わらず驚異的。やっぱり「動くこと」こそアニメーションの原点です。95分にサクッと収まって最後は少しウルッとくるセリフもあり、新人、米林監督、無事大役を果たせたようです。まずはスクリーンでジブリワールドにハマりましょう!(帰来)

2010年7月11日

■17歳の肖像■

1961年という時代設定を考えると、この女子高生はこの時代の異端児だったのか、それともこういう女の子は結構存在したのかを考えてしまいます。キャリー・マリガン、とにかくうまいです。ちょっと背伸びした優等生。大人の世界に憧れと幻滅を悟り、またひとつ大人への階段をのぼっていく。アカデミー賞ノミネートも当然でしょう。でも男性として見るとこの相手の男、これはないでしょう!こんなビョーキみたいなええ加減な男はひどいです。この映画の監督が女性であるという事を踏まえると、なるほどとは思いますね。とにかく60年代、ビートルズ出現前のイギリス娘という設定が心をそそられます。さて、21世紀の女子高生と比べてみますか!?(帰来)

2010年7月04日

■「踊る大捜査線3 ヤツらを解放せよ!」■

お待たせしました!7年ぶりの「踊る」ワールドは期待に違わぬ素晴らしいものでした。本広監督、ご苦労様でした。なじみ深い人気キャラたちだけに物語の世界観と整合性が難しいだろうし、生半可な展開では熱狂的ファンは許してくれないだろうし。監督も高いハードルには大変だっただろうと思います。でもご心配なく!そのすべてがクリアできていて、もう、冒頭からテンションあがりまくりの1本になっています。お約束のテイストの部分と、アクション映画としてマジメに作っているハードな部分のブレンド感覚が絶妙です。キャラクターも7年たって成長しているし、我々も7つ年をとっている訳です。にもかかわらず一気に引き込まれるこの展開!まずは「踊る」のすべてを堪能してください。(帰来)

2010年6月27日

■アイアンマン2■

「アイアンマン」ことトニー・スタークは宇宙人でもサイボーグでもなく、ただの地球人である。しかも職業は超巨大軍事産業のボス!これってかなり異色である。多くの戦禍を巻き起こした武器の力を反省して、今度は自分が武器そのものになって、悪と戦い、またまたガレキの山を築いていく。すっごい自己矛盾のヒーローであり、壮大なパロディみたいなお話。あまり深読みすると、アメリカという国そのものになってしまうので、ここは単純にアクションとテンポとスカーレット・ヨハンソンを楽しめばいいのだと思う。考えれば考えるほどアイアンマンの存在意義が難しくなってくるのだから。まぁ、これも映画の楽しみ方のひとつです!(帰来)

2010年6月20日

■オーケストラ!■

先日の試写会にはたくさんの方に参加していただきありがとうございました!久しぶりの試写会前説、緊張しましたがな。映画の方もなかなかす面白かったでしょう!ガチガチの貧乏オーケストラ成功物語かと思ってたら、親子、友人の愛憎も絡めた実にテンポのいい2時間で、大変満足いたしました。ラストに盛り上がるのは音楽映画の常ではありますが、チャイコフスキーの力、スゴイですね!メラニー・ロランの美しさと相まってホロリと来ること間違いなし。さらにはフランス、ロシア、ユダヤ、それぞれの国民性をからかったりする大陸風ギャグもあり、一筋縄の音楽映画とはちと違うテイストをぜひお楽しみ下さい。(帰来)

2010年6月13日

■FLowers■

今が旬の6人の女優を競演させる企画を考えるとき、誰を主役に誰を軸に・・・と考えるはず。ただ、一人だけを目立たせないし、対立する敵役は作れないし、かといって物語の軸をズラスわけにはいかず、6人が演じるのは同じテーマでなくてはならず・・・・。こんな事を考えただろうけど、それを見事に解決したのがこの映画。違う時代を生きる同じ家族の物語!うまいね。この方法だと全員に見せ場ができるし、大きなテーマは変わらない。正攻法でじっくりと撮った小泉徳宏監督の手腕には感心しました。時代感覚も実にうまく出していて、私は大いに満足しました。ぜひ皆さんも映画館でどうぞ!(帰来)

2010年6月06日

■RAILWAYS■

サブタイトルが「49歳で電車の運転士になった男の物語」とくれば、ここは私がご紹介しなくてはいけません!ほのぼのと心温まり、感動的でジーンときて共感できる・・・といえば「話がうますぎる」とか「きれい事だ」とか「現実はそんなに甘くない」という人が必ずいるでしょう。しかし、この映画の存在意義は、リアルで痛くてストレスのたまる描写をする事ではなく、ある意味、理想の転職人生を描くことにあるのだから、これで十分だと思うわけです。確かに葛藤も家族のすれ違いもあるでしょう。でも、ここでは観客ひとりひとりが主人公を応援できるという事が大事なのです。中井貴一はいいですねぇぇ!でもこの映画を見て「よし、俺も夢を目指そう!」なんて安易に思わないように。現実は厳しいですよ!(帰来)

2010年5月30日

■グリーン・ゾーン■

2003年のイラク侵攻の際に大量破壊兵器を捜索するアメリカ軍という、実にアメリカにとってはビミョーなテーマを選んだ製作陣には拍手を送ります。「ハート・ロッカー」があれだけ「個」にこだわった描写でアカデミー賞を獲得した事を考えると、この「グリーン・ゾーン」はアクション映画として純粋によくできてるんですが、アメリカ国民の受け止め方はどんなもんでしょうか。画面のリアリズムと迫力はさすがに「ジェイソン・ボーン」のコンビだけあって実にワクワクします。ラストのイラク人のセリフがかなり苦いですが、映画としては大変よくできています。まずはスクリーンで見て、この映画のメッセージをどう受け止めるかは見た人それぞれが考えてみるものなんだとつくづく思います。アクション映画ファンから言うと、夜間の市街戦が大したシーンです。(帰来)

2010年5月23日

■これはイタいよ。「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」■

北欧からは時々とてつもなく面白い映画が出てくるんだが、これがまさにそれ。その辺のハリウッド発デジタルケアクションとは一線を画す実に面白いサスペンススリラーである。キャラ設定の斬新さに加えて、北欧独特の雪と氷、夜と闇、そして澄み切った青空。それに対比される残忍な殺人事件。カラッとしたサスペンスではなく、後をひくこのザラツキ感覚は実に大したものです。痛みの描写、光と影を多用した陰影に富む撮影は韓国映画「殺人の追憶」あたりを彷彿とさせます。あと「ゾディアック」とか「ブラックダリア」といった連続殺人もののテイストもあったり・・・。謎解きもさる事ながらヒロインと中年探偵の関係もなかなかヒネっていて、一筋縄ではいきません。とにかく面白い!日本映画では生まれそうにないヒロインに拍手。(帰来)

2010年5月16日

■やっぱり「トリック劇場版」■

すでに公開されていますが、やっぱり「トリック3 霊能力者バトルロイヤル」に触れずにはいられません。わかる人だけにわかる、好きな人は好き・・・という位置づけのこのシリーズですが、どうにかして「傑作脱力系コメディ」の世界観を多くの人にわかってもらいたいと思っている宣伝係の帰来です(笑)。現実にはいそうもない反現実的な主人公2人と非現実的な物語設定が非日常を生み出すという実に深い物語である「トリック」。まず2人が美男美女であるという所がシュールさの第一点。「ここまでやるか」というギャップさがすでに現実的でないところが笑える。でテーマが「怨念・ドロドロ・血縁・愛憎」という超アナログで土俗的。この落差が2つ目の笑いのツボ。ある意味哲学的な意識を内包している「トリック」。ぜひまだの人は体験してみてください。(帰来)

2010年5月09日

■マイレージ、マイライフ■

全国の出張の多いサラリーマンの皆さん、ぜひこの映画をご覧下さい。確かにアメリカならではの設定と企業風土、人物造型がありますが、最後まで見ると、非常に人間的でアナログなテーマに回帰してくる訳で、思わず脚本がうまいっ!と言ってしまいました。G・クルーニーもさる事ながら、アカデミー賞をにぎわせた助演女性2人が素晴らしい存在感です。これは必見。人生、会社、仕事、自分の目標。そして嘘と真実・・・・・。結局、人間は一人では生きられないという事と、理想と現実のギャップを埋めるのは自分自身であるという当たり前の結論に落ちつく110分のウェルメイドな映画。でも60~70年代のハリウッド映画って、こんな「大人の映画」ばっかりだったと思ったりもします。(帰来)

2010年5月02日

■ウルフマン■

戦前のユニバーサル映画の3大モンスターといえば、狼男、ドラキュラ、フランケンシュタイン。今回はオリジナルに忠実なモンスター映画でなかなか味のあるゴシックホラー映画となりました。19世紀末のイギリスを舞台に呪われた一族の悲劇を正攻法で描いて私はなかなか好きな1本です。まぁ、デル・トロがどうみてもイギリス貴族に見えないというのはご愛敬ですが。ホラー演出、CG。しかし、SFファンの私はスペシャルメイクアップアーティスト、リック・ベイカーの衰えない手腕に感動いたしました。「ハウリング」とか「狼男アメリカン」なんてところが懐かしいです。定番の展開ではありますが、正統派ホラー映画としてオススメです。決してテレビドラマ「怪物くん」の上島竜平を思い出さないでください!(帰来)

2010年4月25日

■アリス・イン・ワンダーランド■

ティム・バートンとジョニー・デップのコンビ゙が挑むファンタジィの世界とくれば見逃す事はできない。誰もが知っているあのアリスの13年後・・・という設定が実に奇抜でそそられます。でも私としては、この映画の評価と3D技術とは別に考えたいですね。つまり3Dでなくてもバートンの世界観は十分に伝わると言うことです。ただし、かつての「スリーピー・ホロウ」や「チャーリーとチョコレート工場」のアイロニーや毒気や皮肉さが今回、微妙に薄められたのは、ディズニーブランドのせいなのかも知れません。不思議で楽しいワンダーランドの冒険のあとのエピローグが、少女から女性への成長、アリスの自立を描いた秀逸なシークェンスで、バートンはこのシーンを描きたかったのではないですかね?とにかくまずは劇場で。できれば字幕版でどうぞ。(帰来)

2010年4月25日

■アリス・イン・ワンダーランド■

ティム・バートンとジョニー・デップのコンビ゙が挑むファンタジィの世界とくれば見逃す事はできない。誰もが知っているあのアリスの13年後・・・という設定が実に奇抜でそそられます。でも私としては、この映画の評価と3D技術とは別に考えたいですね。つまり3Dでなくてもバートンの世界観は十分に伝わると言うことです。ただし、かつての「スリーピー・ホロウ」や「チャーリーとチョコレート工場」のアイロニーや毒気や皮肉さが今回、微妙に薄められたのは、ディズニーブランドのせいなのかも知れません。不思議で楽しいワンダーランドの冒険のあとのエピローグが、少女から女性への成長、アリスの自立を描いた秀逸なシークェンスで、バートンはこのシーンを描きたかったのではないですかね?とにかくまずは劇場で。できれば字幕版でどうぞ。(帰来)

2010年4月18日

■「第9地区」■

今年のアカデミー賞でも話題になった作品ですが、これは面白いっ!数多く作られてきたSF映画、異星人との遭遇ものの中でも群を抜いてよくできてます。まず設定の奇抜さと映画的興奮を呼び起こすアクションの素晴らしさ。さらには色々なテーマを読み取る事ができる暗喩(メタファー)の多様さが抜群です。脚本、監督は30才の新人というんだかんら、日本映画界の若手もしっかりと頑張ってほしいですねー。全編を貫く疾走感とアツさが心地よい。「ヒドゥン」「ターミネーター1作目」「ブロブ」を好きなB級SFマニアはお見逃しなく。でもアカデミー賞の風格や権威とはちと違うと思うんだけど・・・・。それだけみんな度肝を抜かれたという事なのかも。(帰来)

2010年4月11日

■ダーリンは外国人■

実は原作ファンの私です。他にもこんな日常雑記エッセイ風マンガはかなり読んでます。「ダーリン」は特にトニーさんの性格や日常の考えがユニークで面白く、映画化を聞いたときは、この個性を実写で演じられる人がいるのかと思ったものです。結論からいうと、まさに「マンガ」から抜け出たようなトニーさんでした!映画は2時間あるわけで、物語の展開や進行が四コママンガとは違うのは当然です。ホンワカした感覚と、トニーさんの優しさと繊細さでドラマを引っ張るというのもたいしたものではあります。大竹しのぶに國村隼というベテランを両親役に迎えて、なかなか楽しめる一編となってますのでお楽しみに。ただ、個人的に私のなかではヒロインのさおりは、井上真央というより、10年前の深津絵里でしたが・・・・。(帰来)

2010年3月28日

■NINE■

この映画の元ネタとなった「81/2」・・・書きにくいなー。「はっかにぶんのいち」です。フェリーニの名作ですが、退廃と幻想と天才の苦悩が実に魅惑的に描かれていて学生時代に感動したものです。で、今回の映画は、私としてはミュージカルナンバーの素晴らしさより、このグイドの苦悩と天才の孤独のドラマの方にひかれました。でもドラマにしてしまうとフェリーニに勝てないので音楽で攻める・・みたいな感じです。出てくる女性像はすべて「男性の目から見た理想の女性像」です。可愛くて魅力的でセクシーで一途で包容力があり。でも今の女性から見るとどうなんだろうか。物語の背景が1965年という設定がここで生きる訳です。あの時代ならこういう女性観もありなんでしょう。とにかくダニエル・デイ・ルイスうまいよ。あと「オール・ザット・ジャズ」もぜひご覧下さい。こちらもスゴいよ。(帰来)

2010年3月22日

■「ハート・ロッカー」■

キツい。重い。イタい。この作品をアカデミー賞に選んだハリウッドは実に微妙な選択をしたものである。映画としての出来は超一級。しかし、イラク戦争とアメリカという視点抜きでは後世になっても評価は定まらない作品と言うべきかもわからない。そしてハリウッド映画であるという事は「ヒーロー」が必ず存在し、そこにはカタルシスや葛藤がある訳でこの作品もその意味ではまっとうなハリウッド映画である。だからこそ一部批評家が言うように「イラク民衆の視点が欠けている」というのはいかにも無い物ねだりだろう。だってアメリカ映画なんだから。「アメリカ兵がイラクにいる事こそが罪」といってしまえば元も子もない訳で、ここはまことに無責任な日本人としては「映画の完成度」をまずは讃えたいと思うわけである。

2010年3月15日

■シャーロック・ホームズ■

これはまたかなり斬新なホームズ像でありますなー!英国紳士でユーモアとウィットに富み、抜群の推理力と判断力と観察力・・・。ここまではいいとして、今回の彼はマッチョで肉体派でつ、強い!そういう意味ではまさに21世紀のホームズであり、欧米で大ヒットとなったのも理由がわかる気がします。監督はガイ・リッチー。とにかく作品の出来不出来の波が大きい人だが、今回は当たり!しかも相棒のワトソンにはちゃんと英国二枚目紳士、ジュード・ロウを配するという心使いも絶妙。お話より、とにかくこのダウニーJr版、ニュー・ホームズをお楽しみ下さい!(帰来)

2010年2月22日

■恋するベーカリー■

こういう映画はハリウッドのお得意です。見る前はメリル・ストリープの芸達者な所で描くパン屋家族のハートフルコメディと確信しておりました。ただ、開巻のタイトルに「R15+」と書かれてて、???と思ったわけですが・・・。まいりました。こういうテイストはまさに考えてもいなかったんで、これは予想外の面白さという事になりました。倦怠期を迎えている中年男女の皆さん、あるいは、金とヒマはあるのであとは生き甲斐とパートナーを見つけたいと思っている方々、ぜひこの2時間を楽しんでくださいよ~!描き方のテイストは好き嫌いがあるかもわからんけど、間違いなくベテランの演技合戦が楽しめます。アレック・ポールドウィン、ケッサクです。かつてはしぶくてカッコよかったのにぃ。てなところで肩の力を抜いて笑いましょう。

2010年2月15日

■インビクタス■

去年の今頃「チェンジリング」を見て、春に「グラン・トリノ」を見てイーストウッドのパワーに圧倒されて年があけて今またこれです。この力はいったいどこから出てくるのか。南アフリカを舞台に、作り話としか思えないような劇的な展開に、俳優たちの確かな演技力。そして全てを包み込むようなおおらかな人間愛と、不正を訴える力強い監督の眼差し。それらすべてがまさに「敗れざる者たち」の姿であるわけです。マット・デイモンは大男ではないのに存在感が十分。そしてモーガン・フリーマン!個人的にはアカデミー賞、あげたいですっ!(帰来)

2010年2月08日

■「パイレーツ・ロック」■

60年代洋楽をこよなく愛する私にとってこの映画はまさに大当たり!楽しくてニギヤカで品がなくてムチャクチャだが、それでいて切なくなったり、泣けてきたり。前編に流れる60年代ブリティッシュロックやポップスが映画そのものの魂です。シーンのひとつひとつにまさにシンクロしている楽曲。登場キャラたちも個性豊かだし。反権力、反体制、自由、共同体、といろいろキーワードは考えられるだろうが、それらを全部ひっくるめて130分の音楽と心の旅を満喫すればいいと思いますね。とにかくおススメです。個人的には船を去るときに、好きなレコードを取りに返ろうとして死にかけるオヤジに涙、涙・・・。今夜は私も「あの頃」を聞きまくるぞ~っ!(帰来)

2010年1月31日

■Dr.パルナサスの鏡■

テリー・ギリアム大好きです。冒頭に出てきた異様な見世物小屋の外観と衣装、キャラクターを見た瞬間、「バロン」を思い出して「これは当たりかも?!」と思いましたが、予想どおり実にダークなファンタジィで間違いなく1月のベスト作となりました。残酷な現実と逃避の対象としての夢の世界。ひねくれたキャラクターと意表をつく展開。まさにギリアムワールド炸裂。欲望を映し出す鏡という設定だからこそ、鏡の中の男の顔が毎回変わるというのが意味が出てくる。もし、ヒース・レジャーが急死せず、そのままで3役を演じてたら映画は別の意味になったかも・・・。とにかくおススメです。あなたのヨ公方はどんな姿形をしはてますか・・・?リリー・コール、私の好みです・・・・。

2010年1月25日

■おとうと■

山田洋次×吉永小百合。このコンビを心待ちにしている一人が私です。派手な事件も起こらない。淡々と人間の日常が重ねられていき、しかし、その中に葛藤やドラマがある。人生とはまさにそれ。今回は姉と弟。しかも複雑に絡み合う肉親の情と人生の機微。こういう映画こそ、じっくりと見るべきものです。奇をてらわず、正攻法の演出と王道の演技は必見。そして笑福亭鶴瓶!この人の独特の存在感が映画の骨です。私としては寅さんをダブらせました。あれは喜劇、これは悲劇。日本人の日本人たる感性に訴えかけてくる佳作です。(帰来)

2010年1月18日

■今度は愛妻家■

「夫婦」という人間関係は実に不思議なものである。何十年も別々に育ってきて価値観も性格も違う男女が一緒に生活して家族となってゆく・・・。お互いがお互いを必要としているとか、それぞれの心の支えになるといったありふれたフレーズを超越した個性と個性がドラマを生み出す訳で、トヨエツも薬師丸ひろ子も実にうまい。でも、結婚経験者は未婚時代のいいところも悪いところも理解できるが、結婚体験未経験者は、結婚生活がどういうものかをまったく実体験としては理解できないと思うわけです。まぁ、一言でいうと「結婚とは我慢と忍耐」ですかね・・・・。それでも続けていくかどうかは2人の自由意思な訳でして・・・。まずは未婚の方も既婚の方も、かつての経験者の方も、それぞれの価値観でご覧下さい!深いよ。

2010年1月11日

■SOUL RED■

伝説の松田優作ドキュメンタリィで今年の映画鑑賞がスタート。とにかく存在感、カリスマ性を兼ね備えた俳優・優作のすべてがここにあります。リアルタイムで彼を知らない10代の映画ファンは、とりあえずこの映画を見てそれから彼の主演作のDVDを見てほしいです。ドキュメント映画としての完成度より「松田優作」の今さらながらの凄さに圧倒されてしまいました。息子2人もいい俳優になったし・・・・。今夜は改めて「家族ゲーム」と「最も危険な遊戯」をも尚したくなりました。(帰来)

2010年1月02日

■アバター■

年末に見たこの映画をご紹介しないわけにはいかない年明けです。映画のテーマとか思想以上に、技術が全面に出されるという珍しい作品になりましたが、これは映画ファンなら必見!必ず21世紀の新しい映画鑑賞スタイルの地平を開く事は間違いなしです。「SFは絵だ」という名言がありますが、映画が視覚に訴えるメディアである以上、この3D方式はまさにSFという「まだ見た事のない世界」の表現にはピッタリでしょう。物語のテーマより、CGキャラの演技より、キャメロン監督が描きたかったのは「奥行きのある構図」「劇場での臨場感溢れる異次元体験」だったと思います。まずは劇場、できたら3Dをまず体感してください!(帰来)

2009年12月28日

■のだめカンタービレ 最終楽章 前編■

映画とテレビの差はどこにあるんでしょうか。映画でなくてはならない題材、テレビの方が訴求力のあるテーマ。最近、テレビ局が制作する映画で、本当に映画でなくては描けないテーマの作品があったかどうか・・・・。要するに割り切り方ではないでしょうか。映画だから、と力を入れても演出がそれについてこなくては何にもならないし。大型テレビだと割り切って劇場のスクリーンを使えばテレビの面白さがそのままファンには伝わるだろうと思います。というところで「のだめ」は気負いもてらいもなく、テレビの楽しさがそのままゴージャスにスクリーンに出ています。僕は好きです。ヨーロッパロケはやっぱりテレビ画面では小さいようです。好き嫌いはあるでしょうが・・・。ファンはお見逃しなく。

2009年12月21日

■パブリック・エネミーズ■

1930年代のアメリカンギャング映画には、少年時代から胸躍らせた経験があります。この映画に出てきたマシンガンケリーとか、ベビーフェイスネルソンは前から知ってましたが、なんといっても有名なのは「デリンジャー」!しかも演じるのはジョニデ。彼が犯罪に走る心の奥とか、簡単にくっついてしまったように見える彼女の存在とか、説明不足はあるものの、スタイリッシュで重厚感のあるアクション映画としては大好きな部類にはいります。マイケル・マン演出の粘っこさと、重さがこの題材にはピッタリです。でも70年代映画少年としては、ウォーレン・オーツの「デリンジャー」1973版の方が泣けましたけど・・・。(帰来)

2009年12月14日

■釣りバカ日誌20ファイナル■

シリーズ物は作り方が非常に難しい。なじみの設定やキャラを替えて新味を出そうとすると固定ファンが離れる。かといって同じテイストと展開を続けると「マンネリ」と言われて飽きられる。その意味で、「男はつらいよ」が48本も続いたのはまさに職人芸。では「釣りバカ」の22本ばどうか。。まず西田敏行の類い希なる個性と演技による所が大きいのと、三国連太郎という名優を相棒に起用し、しかもコメディ演技に徹しさせたという所が長続きの要因だと思う。だから三国・西田がすでに62才、86才となればもう続けていけないというのが本音の所だろう。その意味でいけば「ファイナル」は「生と死」「生きることの喜び」「死生観」がかなり強く前面に出るという事になったのも仕方がない事なのかも知れない。ほんとにご苦労様でした!(帰来)

2009年12月07日

■のんちゃんのり弁当■

シングルマザーの女性が、目覚めて自立して自分の道を見つける・・・というパターンは数多くありますが、この映画のヒロインの潔さと成長ぶりは近年になく、大いに支持されると思います。ベタベタしない、思い切りがよい、一途である・・・。「自分の居場所ではなく行き場所が見つかった」というのは名セリフですねー。アクティブに行動するヒロインの力強さを物語るセリフだと思う。監督の緒方明は「いつか読書する日」で中年の恋愛をリアルに描いたが、今回のヒロインは30代前半という事で、まずは「自分の生きる道」を的確に探す女性像の描写に力を入れてます。しかし、弁当おいしそうですねー。年末に見るにはピッタリの元気の出る映画。おススメです。

(帰来)

2009年12月01日

■「イングロリアス・バスターズ」■

かつて浴びるほど戦争映画を見てきた私ですが、これはまた実に刺激的で諧謔的で人を食っていて、それでいて厭戦・反戦映画として傑作の部類に入る1本になりました。タランティーノの感覚で描く戦争映画とはこれ!虐殺の描写とか強烈な個性を放つドイツ軍指揮官はいかにもタランティーノの好きそうなテイスト。しかし、この映画の捉え方としては、正面から「反ナチ」を訴えるのではなくて、バカバカしさや愚劣さを徹底的に描写することで、戦争の本質をえぐり出しているという点ではないですかね。しかし、西部劇「アラモ」の音楽とか、元ネタの映画がイタリア映画だったりと、相変わらずの映画オタクぶり健在のタラちゃんではあります。

(帰来)

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